●両親が認知症だが、住んでいる場所が離れているため、近くの誰かに後見人を依頼したい。
●知人の成年後見人になりたいが、可能かわからない。
●認知症の親の財産を兄弟が管理しており、使い込んでしまわないか心配だ。
●母が亡くなったが、父が認知症の場合、相続の手続きはどうすればいいかわからない。
●いざという時のことを考えて、財産管理などを頼める人を決めておきたい。
このような不安がある場合は、ご自身やご両親の安心できる老後のために「後見」を検討してみてはいかがでしょうか。
高齢になってくると、人は誰でもだんだんできることが少なくなります。親族や近所の人など、特定の人が進んで世話をしてくれるのは助かる反面、高齢者の財産が使い込まれるリスクがあります。残念ながら、多額の財産を使い込まれてしまった後、取り戻すことは簡単ではありません。そこで、あらかじめ後見制度を利用すると、財産の使い込みをできる限り防ぐことができます。
また、相続手続きを進めるためには、遺産分割協議をする必要がありますが、有効な遺産分割協議を行うためには、相続人に意思能力が必要とされ、意思能力を欠いた者による遺産分割協議は無効となります。
認知症といっても程度は様々で、認知症だからといって必ずしも意思能力に欠けるというわけではありません。もっとも、認知症の程度が重い場合には、そもそも適切な意思を表明できず、事実上、遺産分割の協議をすること自体が困難です。
仮に、認知症の程度が比較的軽度だと思って、認知症の方を含めて遺産分割協議をしたものの、後になって本人あるいは他の相続人から「意思能力の欠如による遺産分割協議の無効」を主張され、遺産分割協議の成立をめぐる争いが生じる可能性もあります。
そこで、高齢者の財産の使い込みを防止したり、相続人の中に認知症により意思能力に疑問がある相続人が存在したりする場合には、後の紛争を防止するためにも、以下の「成年後見制度」の利用を検討する必要があります。
成年後見制度とは、認知症、知的障害、精神障害などによって物事を判断する能力が十分でない方について、その方(=本人)の権利を守る援助者を選ぶことで、本人を法律的に支援する制度です。
成年後見制度は、大きく分けると「法定後見制度」と「任意後見制度」の2つがあります。
成年後見は、家庭裁判所によって選ばれた援助者(成年後見人・保佐人・補助人)が、本人の利益を考えながら、本人を代理して契約などの法律行為をしたり、本人が自分で法律行為をするときに同意を与えたり、本人が同意を得ないでしてしまった不利益な行為を後から取り消したりすることで、本人を法律的に保護・支援します。
本人と取引をしようとする相手方としては、本人について援助者の適切な関与を得ないと、本人と有効な法律行為をすることができません。
成年後見制度を利用するためには、家庭裁判所への申し立てが必要です。
申立人は、申立の際に後見人候補者を提案することはできますが、家庭裁判所はこれに拘束されません。
申立人や親族などが後見人に選任される場合も、弁護士などの第三者がもう一人の後見人として別に選任される場合もあります。
任意後見制度は、本人に十分な判断能力があるうちに、将来判断能力が不十分な状態になった場合に備えて、あらかじめ自らが選んだ代理人(任意後見人)に、自分の生活、療養監護、財産管理に関する事務について代理権を与える契約(任意後見契約)を、公証人の作成する公正証書によって結んでおくものです。
十分な判断能力があるうちに本人自らが将来に備えて結ぶ契約なので、本人の判断能力が不十分な状態になってしまってから、任意後見契約を結ぶことはできません。その場合は、前記の法定後見制度のみを利用することができます。
成年後見制度は、日常的に行うさまざまな契約や財産管理などにおいて、本人に不利益が生じないように支援する制度です。
家庭裁判所への申立や、公証役場での手続なども含め、適切な法的手続を踏む必要があります。また、様々な契約や、遺産分割など高度な法的知識が必要となる場合もあるので、法律の専門家である弁護士へ依頼するのが安心です。
当事務所では、多数回にわたり成年後見人に就任した経験があり、後見監督人として任意後見人の事務を監督したこともあります。そのため、成年後見の申立て、後見人への就任、任意後見契約作成など幅広い業務に対応することができます。
高齢の家族が認知症になってしまい、悪質な訪問販売や「オレオレ詐欺」にだまされてしまうかもしれない、相続が適切に行われなくなってしまうかもしれない、そういった不安にも、弁護士であればトータルなアドバイスが可能です。
皆さまの大切なご家族とともに、安心してこれからの生活をおくれるように、一緒に最善の方法を考えていきましょう。