●亡くなった父親の預金通帳を見せてくれない兄を信用できない。
●遺産分割で寄与分や特別受益を主張され話し合いが進まない。
●長年連れ添った夫が亡くなった後に、愛人と子どもがいることが発覚した。
●実家の土地・建物を兄弟で相続したことにより、トラブルが発生してしまった。
●亡くなった夫の遺言書が見つかったが、自分の取り分が少なすぎる。
●両親の介護を条件に生前贈与を受けたのに、両親が亡くなった後、法定相続分での相続を主張されて困っている。
このような場合に「遺産分割協議」を行います。
遺産分割とは、被相続人(亡くなった方)が、亡くなった時点で持っていた財産(遺産)について、個々の遺産に対する権利者を定める手続きのことです。
相続人が一人である場合は、すべての遺産は相続人一人の単独所有になりますので、上記の遺産分割は生じません。
しかし、相続人が複数人いる場合には、遺産を一時的に相続人全員で共有する関係になりますので、共有している遺産を各自に分配する手続きが必要です。
この遺産分配についての話し合いを「遺産分割協議」と言います。遺産分割協議において定まった事項をまとめた書面のことを遺産分割協議書と言います。
遺言がある場合、その中に遺産分割の方法について記載があれば、原則としてその遺言に従います。しかし、不確実な遺言だった場合には、相続人全員が協議をして、遺言(あるいは法定相続分)と異なる分割方法を定めることも可能です。
遺産分割には、期限というものがなく、いつでも自由な分割請求が可能です。
例外としては、亡くなった方(被相続人)が、適正な遺言において遺産分割方法を指定していたり、遺産分割そのものを禁止している場合が挙げられます。
遺産分割には「指定分割」「協議分割」の2種類があり、遺産分割の方法としては「現物分割」「換価分割」「代償分割」「共有分割」の4つがあります。
遺産分割はまず、被相続人が生前に遺言で指定する「指定分割」に従います。遺言がない場合は、相続人全員の協議による「協議分割」により行うことになります。
しかし、遺産の滅失が発生したり、相続人が死亡したりした場合、「争続」に発展するケースも少なくありません。
遺産分割は、相続税の控除適用を受けるための要件にもなっていますので、可能な限り早い段階で手続きを行うことが大切です。
■必ず相続人全員で行う
ただし、必ずしも一堂に会して話し合う必要はなく、全員が合意している内容の協議書を、郵送などの持ち回りで署名・押印する、という形でも問題ありません。
■遺産分割協議書には、「誰が」「どの財産を」「どれだけ取得するか」を明確に記載する。
■後日、遺産が発見された場合に、どのように分配するか決めておく。
■不動産の表示は、所在地や面積など、登記簿の通りに記載する。
■預貯金は、銀行名、支店名、預金の種類、口座番号なども細かく記載する。
■住所・氏名は、住民票、印鑑証明書通りに記載する。
■実印で押印し、印鑑証明書を添付する。
■協議書の部数は、相続人の人数分、金融機関等への提出数分を作成する。
■相続人が未成年の場合は、法定代理人が遺産分割協議に参加するか、未成年者が成年に達するのを待ってから遺産分割協議をする。
■法定代理人も相続人である場合は、互いに利益が対立することになるため、家庭裁判所に特別代理人の選任申立を行う。
■相続人に胎児がいる場合は、胎児が生まれてから作成する。
■相続人の一人が分割前に推定相続分の譲渡をした場合は、遺産分割協議にはその譲り受けた者を必ず参加させなければならない。
遺産分割協議の方法や遺産分割協議書の作り方を誤ると、やり直しになってしまうことがあります。少しでも不安がある場合は、お早めに弁護士にご相談ください。